たとえば僕が、

 

 

 

たとえば僕が、

 

河原にころがるただの石っころだったら

 

僕は毎日太陽のひかりを浴びながら

気のすむまで昼寝をして

いしっころに生まれてよかった〜!

と心から思うだろう

 

でもきっと

いつまでも変わらない景色に見飽きて

どうして僕には

あのありんこやだんごむしみたいに

手と足がついてないんだろう?

って疑問におもうんだ。

 

僕も歩いてみたいな、

僕も走ってみたいな!

だれか僕を、見たことのないところまで運んでいって!

 

そんなことを思っていたら

向こうの方から

手足が長くてあまりにも大きい

にんげんってやつがやってきて、

「けっ!!」

と言いながら僕のことを蹴っ飛ばすんだ

 

ぼくは、イテッ!!と思いながら

一瞬で風に乗るじぶんを感じて

そこで痛みも忘れてしまって

上も下も右も左もないようなぐるぐるの中、

いつもの景色を真っ逆さまから見渡すことになる。

 

そして

ぽちゃん!と音を立てて

川に飛び込むんだ。

 

水の流れが僕のからだを勝手に運んで、

それはまるで手と足が生えたみたいで

見たことも聞いたこともない

水色の世界を

僕は動きまわるんだ

 

キラキラ。

うにょうにょ。

変な顔のさかな。

 

きっとにんげんってやつは

何か気に食わないことでもあってさ、

それは僕には何の関係もないことだけど

 

この水色の世界に運んでくれたことを

僕はちょっとだけ感謝するんだと思う

 

そして、

川を泳いで

泳いで泳いで。

 

傷だらけになりながら

目まぐるしく移り変わる景色をみて

僕が少し強く、大きくなって、

もう一度地面にたどり着いたとき。

 

河原のそばでいつも咲いてた

もう見飽きたはずのお花が

 

こんなにも鮮やかで綺麗だったんだ!

って気づくんだ。

 

このお花のとなりにいたいな。

ここでのんびりしたいな。

 

 

 

 

太陽のひかりを浴びながら

飽きるほどの昼寝をして

お気に入りのお花の花びらのもとで

 

僕は ぼーっと考える。

 

「たとえば僕が、、」

 

f:id:sakupoon:20181214010706p:image